【交通事故】交通事故の後遺障害等級認定で和解が成立した事案
交通事故の後遺障害等級認定で、自賠責の認定が11級、労災の認定が9級だった事案で、訴訟提起の結果、9級を前提とした和解が成立した事案
ご相談内容
交通事故の被害に遭われた石川さん(仮名)からご相談を受けました。
石川さんは、交通事故で腕等を怪我し、後遺障害が残りました。自賠責の認定では後遺障害等級は11級でしたが、石川さんが労災でも後遺障害等級を認定したもらったところ9級と認定されました。加害者側の保険会社は、11級を前提とした和解案しか提示してこなかったため、示談交渉がうまく行かず、当事務所相談にいらっしゃいました。
解決方法
私たちは、後遺障害9級を前提に損害を計算し、損害賠償請求訴訟を提起しました。裁判の中で、被告側は後遺障害の等級認定は11級が妥当との主張を展開しましたが、私たちは、事故後の治療経過を看ても本来認定されるべき症状が自賠責の等級認定においては認定されていないこと、書面審査のみの自賠責の等級認定よりも、実際に診断をして審査を行う労災による等級認定の方が信用性が高いことを主張しました。
裁判は、双方が主張立証を尽くし、尋問手続を経て、裁判官より9級を前提とした和解案が提示されました。その後、被告側は控訴をしましたが、後遺障害の等級認定については9級を前提とする判断が維持されました。
後遺障害においては、労災による認定と自賠責による認定とが食い違った場合、保険会社は自賠責の等級認定の方が等級が低く、労災の等級認定が高い場合には、示談交渉時点で労災の等級認定を前提とした和解には応じようとしないケースが多いです。
しかし、裁判手続きになった場合、裁判所は労災の等級認定をより信用性が高いとして、労災の等級認定を採用することもありますので、本件のような場合には訴訟提起をしていくことがより適正な損害回復につながる場合もあります。