横浜市の戸塚区内で専業農家を営むAさんは、遺産分割の処理のために自己所有の農地を同市泉区内で農家ではないBさんに売却しようとしました。
Bさんは農家ではないので、周知のとおり、売却または転用・売却について農地法上の許可が要ります(同法3条、5条)。
AさんとBさんは、これらの許可を得た上で売却することも検討しましたが、時間や手間、場合によっては費用も要するとのこと、そして何よりも許可が下りる保障はないとのことで、結果、売却は難しいかも、ということになってしまいました。
当事務所は、Aさんから従前、上記遺産分割に関する相談と依頼を受けていたのですが、代償金や相続税の納税資金を捻出するためにも、上記農地の売却は、できる限り早期にかつ円滑に行う必要がありました。
上記問題すなわち売却等のために農地法上の許可を得なければいけない、という問題は、結局、上記売却予定の土地が「農地」であるがゆえに生じる問題です。
そして、上記土地は、偶々10~15年以上前から近所の建設会社の資材置き場等として使われていたため、却って、農地としては、遅くとも上記時期以降は休耕を超えて耕作放棄地となっていたことが判りました。
そのため、上記事情からすれば上記土地は、そもそも「農地」には該たらない、よって農地法の適用はそもそもないはずとして、それを認めてもらうために、不動産業者と協力して農地ではないと認めてもらうための活動をしました。
すなわち、上記のとおり「農地」ではない、として農地法の適用がない、すなわち上記の農地法上の許可を得なくても売却、具体的には土地の所有権登記の「地目」欄を「農地」から農地以外に変えることで法務局での所有権移転登記を受け付けて貰えるようにするためには、「非農地証明書」という書面が必要になります。
そのために、当事務所は不動産業者と協力してこの非農地証明書を取得するための活動をしました。
具体的には、以下の各事実を疎明する資料を揃えることをしました。
…上記のとおり10~15年以上前から耕作はされていなかった。
…近所の建設会社から、資材置き場が近所にないから、という事情から、偶々耕作していなかった今回売却予定土地に置かせて貰いたい、と執拗に頼まれたため、Aさんはどうせ耕作もしていないし人のために役に立つなら、という気持ちから資材置き場としての使用を認めたという経緯であり、地代もごく低額しか受領していないことからも明らかなとおり、決して営利目的でAさんの側から相場以上の地代で貸し始めたといった事情ではなかった。
…面積割合でみれば、ほんの1%程度に過ぎないこと
…売却するためであるが、その売却理由は、遺産分割の代償金や相続税の納税資金を捻出するためであること
上記(1)から(4)の各書面の提出等をし、かつ、当局とも交渉したことで、無事、上記の「非農地証明書」を取得することができた結果、「地目」を「雑種地」に変える変更登記を得ることができ、売却できることになりました。
そのために、上記のような当局との交渉などやり慣れてはいない当事者の農家だけでの交渉等では、なかなか証明書を取得するのが難しい場合が多いです。
当事務所は、本件のようなケースにおいても、上記各疎明資料を整えた上で当局と交渉することに慣れた不動産業者と協力して、非農地の証明書を得られるように常に最大限の努力をしてきており、かつ、上記各疎明資料の取得や交渉時での使用法等について、独自のノウハウを有しております。
相続人間での遺産分割を巡って揉めていて、農地は農業を継いだ自分が全て取得する代わりに代償金を支払ってやる必要が出ましたが、この代償金を用意するために、農地の一部を売却する必要が出ました。そして、自身が専業農家を営んでいる関係上、現在、耕作中の土地は極力売るわけにはいかなかったため、現在資材置き場として賃貸中の土地を売りたいと思ったわけです。
上記遺産分割で揉めた時点から弁護士を探し、そのときから貴事務所の弁護士さんのお世話にはなっていたわけですが、実際に売却が極めて難しい農地の一部を上記のような手順で無事売却できることになってとても感謝しています。
売却できたことで、代償金だけでなく相続税の納税資金も捻出できたので、この点でも非常に助かりました。
元々は遺産分割の問題から相談させて頂いていたのですが、相談中からも、不動産、特に農地や農家等マイナーな問題にもお詳しい弁護士さんだったので、お話しながらもとても安心できました。
はい。
お蔭様で、この売却代金を代償金と相続税の支払の一部に使わせて頂くことができました。
タウン&シティ法律事務所では、不動産分野に詳しい弁護士が問題を解決します。
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